はじめに
2026年9月20日に開催されました、「TANGO 100km ULTRAMARATHON」におきまして、見事に完走することができました!この経験を本記事に残すことで、後に自身で振り返ることができるように、また皆様に100kmマラソンの世界を共有できればと思います。
この記事を読むことで、ウルトラマラソンに初挑戦した、とある市民ランナーの身に起こったことやペース戦略、補給戦略などの幅広い分野の知識を知ることができます。
補給戦略
基本的にマラソンにおける補給では「水分」「電解質」「エネルギー」の三本柱で考えます。そこに加え、ウルトラマラソンでは13~14時間という長時間の運動になるので、激しい筋肉破壊が発生するので、筋肉の材料である「アミノ酸(BCAA)」の補給も必要です。
今回は練習でも肌になじんでいた「ハンドフラスク」を使いました。丹後100kmではエイドステーションが約5km毎に設置されています。そこで「水」を中心に補充しつつ、下記のパウダー剤を混ぜて、少量頻回に補給しながらレースを進めようと考えました。ちなみにエイドステーションでは水以外にも、アクエリアスや麦茶、ソルティライチ、コーラ、アミノバイタルのパウダーを水に溶かしたものも用意されていたので、気分によって摂る内容も変えることができるのも楽しみの一つですね。ちなみにマラソン中はコーラを飲んでも罪悪感は全くありません☆
「電解質」補給としてエブリサポート、「アミノ酸」としてアミノバイタルを用意し、それぞれ1本ずつ混ぜます。エブリサポートは10本、アミノバイタルは「BCAAチャージ」と「クエン酸チャージ」の二種類を、それぞれ5本ずつ用意。
「エネルギー」補給としてジェルを10個用意しました。ジェルの内容は「俺は摂取す」を6本、「メダリスト」を4本用意。個人的なジェル選びの基準は、第一に美味しさ、第二に補給しやすさ、第三に栄養内容で選びます。「俺は摂取す」はハイパワーなBCAA含有量をほこり、トロっとした舌触りで補給しやすいです。いろいろな味が展開されており、どれも癖が少なくおいしく補給できます。「メダリスト」はとにかく味が美味しいです。栄養内容はシンプルであり、内臓への負荷が軽いことも高評価です。
ウルトラマラソンで動き続けるには、一時間に200~250㎉補給する必要があります。ジェル一個につき100~140㎉なので、一時間に一個に加え、エイドステーションのバナナやカステラ、羊羹、菓子パンなどを上手く摂り続ける必要があります。走りながら食べることになりますが、この際お行儀が悪いなどとは言ってられません☆
装備
前述の通り、補給関係はスティック状のパウダー剤20本、塩分タブレット5個、ジェル10個を持ちます。他には皮膚ずれ防止のワセリン、貴重品を入れるミニポーチ、携帯コップを持つので、使い慣れた6Lザックを選択。それとハンドフラスクで臨みました。
レース当日
メイン会場は「アミティ丹後」。宿泊していた「リゾーピア久美浜」からレンタカーで30分の場所。スタート時刻はAM4時25分なので、一時間前の到着を考えるとAM3時出発となります。よって起床時間は驚異のAM2時30分に設定しました。(ひぇ~) 仲間の運転に助けられ、助手席でおにぎりを二つ頬張りながら向かいます(本当に感謝)。
駐車場はA~Dの四つあり、到着した時にはABCは埋まっていました。最後のDに駐車することができ一安心。マイクロバスが来てくれて、1.6km離れたメイン会場に向かいます。当日はこの時だけ小雨が降っていました。
レース開始
0km~10km
開始直後は4時30分ということで、辺りはまだ暗かったです。参加者はヘッドライトを点けている人も多かったです。スタート前は眠い目をこすっていましたが、レースが始まるとワクワクやドキドキで興奮してテンションはかなり上がっていました!普段の練習でも10kmはよくやるので、ウォーミングアップの気持ちでレースを進めます。たくさんのウルトラランナーと並走しているだけで幸せな気分でした。
10km~30km
ぼんやりと辺りが明るくなってきました。ウルトラマラソンに向けた練習として、週末の時間のある時には30km走や3時間走を10回以上こなしてきたので、ここまでの疲労感は想定内です。予定通り、フラスクに水を入れ、エブリサポートとアミノバイタルを投入したものを少量頻回に補給しながらレースを進めます。エイドステーションではバナナやオレンジを中心に摂り、ほかにはご当地名物の“へしこおにぎり”や“カニ汁”を楽しみました。周囲の雰囲気も明るく、ランナー同士で談笑している光景も多くありました。
余談ですが、ウルトラマラソンは僕の大好きなRPGゲームのようなものと思っています。スタートと同時に冒険が始まり、町(エイドステーション)で休み、物資を補給し、また次の町へ出発するの繰り返し。時折ボスも現れます(今回でいうと山登り区間の七竜峠と碇高原)。まるで自分自身が冒険の主人公になった気分になることができて非常に楽しいです!
30km~40km
さて、普段の練習では行っていない30km以降の区間です。ここで第一のトラブルが発生します。「足が痛い」です。まあ想像通りでしたね。マラソン競技には奇跡というものは滅多に起こらない特徴があります。 “練習でやっていないことは、本番でもできません。” 30kmまでの練習しかしていなかったので痛みの出現は想定内でしたが、じわじわと増す疲労感と痛みに不安を感じながら、それらに耐えながらレースを進めました。
40km~50km
ようやく半分に差し掛かったところで、第二のトラブルが発生します。「味覚がおかしい」です。フラスクの水にエブリサポートとアミノバイタルを溶かし、まあまあ美味しく補給を続けていたのですが、この区間で突然味の感じ方が変わり、驚くほどまずく感じ始めました。化学味と吐き気のする風味。初めての経験でした。さらにエイドステーションに到着し、大好きなオレンジをかじっても全く酸っぱくなく「無味」です。おそらく極度の電解質不足や脱水、内臓疲労などが考えられます。長時間動き続け、膨大なエネルギーを消費するウルトラマラソンにおいて、食べ続けることは絶対条件です。つまり食べられなくなるということは途中棄権を意味します。味覚の違和感を抱えたまま、次の区間に足を進めます。
50km~60km
本レースで最大の難所とされる10km上り坂の碇高原、その手前のエイドステーションに到着。ここで第三のトラブルであり、最大の壁に立ちふさがれることになります。「気持ちが悪くて食べられない」です。このエイドステーションでは名物の“ばら寿司”があります。ちらしずしのような見た目で可愛らしく、目玉の一つでした。ありがたくいただこうとしましたが、胃がやられてしまっており箸が進みません。「ここで終わりか」と本気で思いました。置いてあったパイプ椅子に腰かけ、「あしたのジョーの最終回」のようなうなだれた姿勢になっていると、一緒に参加した後輩も合流。彼も相当グロッキー状態。「足が攣りすぎて動けません!」とのこと。互いに5分ほど休憩後、「せっかく来たことだし、名物の碇高原の味見くらいはしてみるか!」ということになり、足を引きずりながら出発することに。いったん目標を小さなものにすることで、何とか走り始めることができました。
60km~70km
ラスボスとして有名な碇高原はおよそ60kmから始まるようで、徐々にのぼり区間が始まりました。しかし僕はあまりコースを調べることをしておらず、70kmから始まるものと勘違いしていました!65kmくらいで異変を感じ始め、近くのお姉さんに「坂が長いですね、この後に碇高原もあるんですもんね?」と話しかけると「いやいやこれ碇やで!」と華麗な関西弁で答えてくれました。これだったんかい!と思うと同時に、気づかぬうちに半分終わっていたことに喚起しました。碇高原を倒せば、あとは起伏の少ないロード区間を期待していたからです。さらに山登りで歩いていたことで身体の上下動が減少し、先ほど前に感じていた胃の不快感は明らかに改善されていました。上り坂は一見大変だけど、内臓疲労を回復できる区間として適しているなという思わぬ発見でした。しかし相変わらず食欲不振は継続しています。でも食べなければ残りの30kmは走破できない。どうしたもんかと考えたときに、なんとか食べられるものを発見しました。
エネルギー源:一口ようかん 電解質:塩分タブレット アミノ酸(兼エネルギー):俺は摂取す
中でも一口ようかんは神で、いい点は3つあります。
①しっかりエネルギーを摂取できる
重さ15gあたり39kcalです(井村屋HPから引用)。一般的なジェルは45gあたり110~120kcalであることが多いので、重さあたりのエネルギー比率はジェルに匹敵します。さらに食物繊維やポリフェノール、カリウムも摂ることができ、特にカリウムが嬉しいです。足が攣る原因の一つに、発汗による水分やミネラル(ナトリウム・カリウム・マグネシウム)の不足が考えられます。ミネラルは筋肉の収縮・弛緩を調整する役割を担いますが、中でもカリウムは筋肉を弛緩させる働きを担いますので、筋肉の過剰収縮(攣り)を抑制する効果があります。
ちなみにバナナにもカリウムはたくさん含まれますので、エネルギーだけでなく攣り対策としても、マラソン向けのスーパーフードというわけですね。
②余計な添加物は入っておらず消化しやすい
原材料は「砂糖・小豆・水あめ・寒天・食塩」の天然由来のものを中心に製造されています。普段の練習やフルマラソンではジェルをよく使いますが、今回のように内臓疲労状態では添加物が気になります。ようかんであれば安心して補給することができました!
③押すだけで食べられるし小型で食べやすい
ハサミなどで切らずに簡単に押し出して食べられるワンプッシュタイプのパッケージなので、手軽に食べることができます(井村屋HPから引用)。ロングレース後半ではパッケージを開封することすら面倒に感じるほど気持ち的に余裕がありません。そんな中この食べやすさは素晴らしいと思いました!おまけに手を汚さずに摂ることができる点もポイント高いです。
よって碇高原の山登り区間では「補給をしっかりし、残り30kmを走りきる体制を整える」時間に使いました。一口ようかんと塩分タブレットを交互に永遠と摂り続け、下肢筋肉の張りを感じたらアミノ酸(俺は摂取す)を摂ることを徹底しました。すると胃の不快感は消え、状態は回復しました。今思えば、ここまで長時間・長距離を走ってきて内臓疲労が緩和し、下肢の痛みも落ち着いていたことを振り返ると、この時間帯はかなりアドレナリンが出ていたと思います。
70km~80km
碇高原を登り終え、今度は長い下り坂が始まります。ここで第四のトラブルに見舞われます。「足指への大ダメージ」です。ここまでで大腿の筋肉はかなり悲鳴を上げていました。そこで走り方を変更し、膝関節ではなく股関節と骨盤の回旋を用いるようにしました。その結果、大腿の筋負荷は抑えられますが、足部の安定性が疎かになり、靴の中で足が前後にずれてしまいます。よって靴のアッパーメッシュに足指がぶつかり、右の小指に皮膚ずれが生じました。これが大変で、水膨れのようになってしまい、足を地面につくと激痛が走ります。下り終えたところにちょうどエイドステーションがあり、救護所のお兄さんに皮膚保護のテーピングを依頼。快く処置してくださり、「あと少しですからね、痛み忘れていっちゃいましょう!」と励まされ、素直にそうすることにしました(良い子はマネしないでね)。
80km~90km
正直この区間の記憶が一番ありません。とにかく夢中で、我武者羅に走っていたことは覚えています。常に「攻め続けろ!」「挑戦!挑戦!」と自身に言い聞かせて正気を保っていました。85kmくらいに最終関門があるのですが、手前2kmのエイドで、スタッフのおじちゃんが「この2km先に最終関門!あと30分あるよ、間に合うよ!」とみんなに声をかけていました。この声掛けにより安心し、「これはいよいよゴールが見えてきた!」とウキウキ気分に。無事に最終関門を15分ほど残し通過。あとは100km地点、ゴールまで走りきるだけだ!
90km~100km
ここで最後の第五のトラブルに直面します。「完全にアドレナリンが切れる」です。90kmを超え「あとは普段の練習でもよく走る10kmだけ、この勝負もらった!」と安心しました。気分はゴールしたも同然、舞い上がっていました。ここまで交感神経優位でバリバリに緊張していた攻撃的な意識が、安心によるつかの間の副交感神経が顔をのぞかせたことにより、忘れていた下肢の痛みと眠気が強烈に襲ってきます。この10kmは本当に長く感じました。時計を確認し「結構進んだか」と再度確認すると200mしか進んでいない絶望。しかしここでやめる選択肢などありません。普通に走っても足が痛いし、長時間進めない、歩いてしまう。どうしたら楽に早く進めるかと考えたときに、僕の奥の手を発動しました。ピッチ走法です。
これによりあら不思議、この区間でキロ6分をたたき出し、前の選手をごぼう抜きしていました。正直爽快でした。
自身の走法を複数持っていると、例えばマラソン後半で限界を迎えた際も、身体の使い方が変わり、走りが楽になることがあります。日々のジョグでもピッチ走法やストライド走法などのいろいろな走り方を意識して走ると面白いかもしれません。かつ確実に粘り強さが身に付きます。走法に関しての記事は後々アップしようと思います。
最後の3kmあたりから沿道の応援が特に多く、「お疲れさま!」「おかえりなさい!」といった声掛けが本当にうれしかったです。この上ない高揚感・達成感・主人公感。今思い出すだけでも心が沸き立ちます。そして最後の1kmはスパートをかけて気持ち良くゴール!!もううれしすぎて、、。いままでフルマラソンは10回ほど走ってきましたが、また違った特別な達成感に浸ることができました。帰ってからもまだ信じられなくで、完走メダルを見てにやにやしていました。
初めてのウルトラマラソンを終えて
いつかは夢に見ていた100kmですが、こんなに早く達成できるとは思っていませんでした。これもいい意味で無鉄砲な後輩が「行きましょう!」と誘ってくれたおかげですね。一人では挑戦すらまだしていなかったと思います。思い切って飛び込んでみることの大切さに気が付きました。また、予想通り大きなトラブルに五つ直面し、特に第三のトラブルでは本当にあきらめかけ、心が折れかけました。しかし周りの支えもありながら自力で立て直す力も身についたと思います。たくさん学びがあり、人間としても成長できたウルトラマラソンとなりました。本当に参加してよかったです。完走して一週間後に本記事に筆を走らせていますが、早くも次のウルトラマラソンに興味がわいてきています!次回はどこに行こうかな。
走り書きですが、ここまで読んでいただきありがとうございました!

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